面白い助成金ができました(キャリアアップ助成金・健康管理コース)

◆今年も助成金の改廃がありました
 ことしも様々な助成金の改廃がありました。今年3月末で廃止となった大きな金額の助成金では、「受給資格者創業支援助成金」(雇用保険受給中の者が自分で創業したときには、最大で200万円の助成)や、「派遣労働者雇用安定化特別奨励金」(派遣労働者を社員として雇用したときには会社に最大100万円の助成)等がありました。時期遅しで残念な思いをされた方もいらっしゃると思います。

 一方、今年4月から1年限りで新登場した「若者チャレンジ奨励金」(訓練1ヵ月につき15万円、職場定着で100万円、訓練期間を1年間とすると総合計280万円)は、助成金額の大きさもあり、僅か5ヵ月でいわば完売(東京都は8月6日で受付停止)となりました。このことから世の中には助成金ウオッチャーが大勢いらっしゃることを実感いたします。

◆面白い助成金ができました
会社が有期契約労働者の方を指導・教育・処遇改善・正規雇用することに対して助成金が支給される「キャリアアップ助成金」制度が出来ました。この助成金はこれまでの助成金を統合した部分もありますが、助成金の狙いはまさに正規雇用労働者を増加させるためにあり、雇用の安定性を促すものといえます。
 このキャリアアップ助成金の中に、「健康管理コース」という面白い助成金ができました。これまでにない新たな観点で支給されることから今回ご案内いたします。

パートタイマーは労働安全衛生法の定期健康診断対象者となっておりません。ここに着目して、「健康管理コース」では、定期健康診断の対象となっていないパートタイマー4名に健康診断を受診させてあげることで、助成金40万円(大企業は30万円)が会社に支給されるというものです。貴社でパートタイマー4名以上がいる場合には利用可能です。
(注)対象となる短時間勤務のパートタイマー
 *労働契約書で週労働時間20時間未満
 *労働契約書で週労働時間20時間以上30時間未満(この場合には原則雇用保険被保険者となります)

◆「健康管理コース」進め方  パートタイマー対象者4名に定期健康診断を
受診させます。定期健康診断費用は40歳未満
の者に対する検診項目で1名約5千円前後、4
名合計2万円前後の会社負担で助成金40万円
(大企業は30万円)が支給されます。

 支給申請に際しては、就業規則の手当(パート
タイマーでも定期健康診断が受けられる定め
や、その費用は会社が負担することなど)が必
要となります。就業規則の記載文言は当事務所がご案内いたします。

◆「健康管理コース」は取り組みやすい助成金です。
 一口に助成金と言っても、その手続きの煩雑さや助成金額の多寡、さらには助成金を得るまでの準備期間の長さには様々なものがあります。
 分厚い書類を積み重ねて提出してもわずかな
助成金にしかならないものあれば(あえて助成金
の名前は出しません)、母子家庭の母や軽度障
害者を雇用するだけで90万円が受給できる特
定求職者雇用開発助成金もあり様々です。
 
キャリアアップ助成金の健康管理コースは、
支給内容が明瞭で、煩雑な手続きも要さず、助成金のための行動開始から受給までそれほどの時間がかからないことから多くの助成金の中でも取り組みやすいものといえます。パートタイマーを多く抱える事業所様のご利用をお勧めします。なお、定期健康診断時間は原則労働時間となることはご留意願います。ご不明な事項は当事務所へお尋ねください。

建設労働者が足りない!

 数日前の報道番組によれば、東日本大震災で被害を受けた三陸地方の建設業社長が、建設労働者を集めることが難しくなってきていることをぼやいておりました。引き続いて、建設材料メーカーでは現在24時間体制でフル生産操業している工場の場面も報道しておりました。建設業界は、アベノミクスの公共事業を柱とする財政出動で業績の回復が期待されていることや、オリンピック開催にむけた準備のため、この傾向に更に拍車がかかるものと思われます。

  通常であれば景気の好調な業界には他業界からの人材移動があるはずですが、建設業界はどうも様子が異なるようです。「当面の建設人材不足対策」(平成25年6月21日厚労省・国交省共同発表)によれば建設業人材確保に関する事態は深刻なようです。現在60歳以上の建設技能労働者は52万人、全体の18%と高齢化率が非常に高い一方で、引退高齢者を補充する若手入職者の人材確保と育成がままならない状況となっております。この対策のため、「人材確保」・「人材育成」・「人材移動の円滑化」が提案されております。
当事務所では建設業の保険未加入問題解決でお手伝いさせて頂いておりますが、まだまだ保険未加入企業が多いとの情報があります。発注工事を落札するためには社員の保険加入は無理という状況ならば、やはり若手の人材確保は困難でしょう。前出「当面の建設人材不足対策」においても社会保険未加入対策の更なる推進を課題として取り上げており、今後当局の加入促進姿勢が強硬になることが予測されます。

建設企業の「人材育成」に対する助成金では、建設労働者確保育成助成金が用意されております。建設労働者の技能実習に対する経費や賃金補助、あるいは雇用管理整備等での助成金がありますので、建設企業の方のご利用をお勧めします。

最低賃金の引き上げ

先月号で最低賃金が改定になるとご案内いたしましたが、関東都県での最低賃金が出そろいましたのでご連絡いたします。

*東京  869円(19円アップ) 10月19日〜
*神奈川 868円(19円アップ) 10月20日〜
*埼玉  785円(14円アップ) 10月20日〜
*千葉  777円( 21円アップ)10月18日〜

事務所より一言
先月号でご案内の、東証一部上場居酒屋チェーン「大庄」過労死事件の大阪高裁判決(入社4ヵ月後に心機能不全で過労死した新人従業員の遺族に対し会社が7860万円の損害賠償を行う命令)に対し最高裁判決が今月26日までに出され、1審・2審に引き続き「大庄」が敗訴し判決が確定いたしました。
 この事件は、従業員を過労死に至るまで酷使する企業には大きな警鐘になると言えます。

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