2023年04月号

雇用保険料率の引き上げ

先月号でもご案内しましたが、雇用保険料率が今年4月1日から再引上げとなりますので5月の給与計算ではご注意願います。4月中に締め切った賃金は5月支給分より下記雇用保険料率で計算します。

4月1日改定後の一般事業雇用保険料率
A被保険者負担  6/1000 (7/1000)
B会社負担   9.5/1000(11.5/1000)
合計A+B:   15.5/1000(18.5/1000)

( )内は建設業に対する雇用保険料率

4月から出産育児一時金が増額されます

◆出産育児一時金とは
出産育児一時金とは、協会けんぽや組合健保そして国民健康保険の被保険者が出産したとき、出産に要する費用をサポートする制度です。

◆42万円から50万円に増額へ
出産育児一時金の支給額は現在原則42万円ですが、この4月1日出産から1児につき50万円が支給されます。出産一時金の判定は出産日によるため、3月31日と4月1日の出産では8万円の差額が出ることになります。

◆出産費用の状況等
厚生労働省のデータによると、出産費用(正常分娩)は年間平均1%前後で増加しています。
令和3年度における出産費用(公的病院・正常分娩)の状況を都道府県別に平均値でみると、一番高いのは東京都の57万円、一番低いのは鳥取県の36万円、全国では45万円です。出産費用の較差の最も大きい要因は地域の所得水準とされています。

◆出産育児一時金の支給方法(直接支払制度・受取代理制度)
出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、協会けんぽ等から出産育児一時金を医療機関等に直接支払う仕組み(直接支払制度)があります。出産費用としてまとまった額を事前に用意する必要がないので、被保険者の負担は軽減されます。
また、直接支払制度では、法令に規定された医療施設に対し、医療機関等が被保険者に代わって出産育児一時金を受け取る「受取代理」制度を利用することができます。いずれも出産一時金申請のときに書式で申告できるようになっております。

常態化する企業の人手不足
〜人手不足に対する企業の動向調査(帝国データバンク)より

◆人手不足企業 5か月連続で5割超
採用活動に苦戦する企業が多くみられるなか、人手不足が常態化している企業は少なくありません。帝国データバンク調査によれば、正社員の人手不足企業の割合は52%、非正社員では31%の高水準となっています。

◆「旅館・ホテル」「情報サービス」「飲食店」が人手不足高水準
業種別にみると、正社員、非正社員いずれも「旅館・ホテル」がトップで、7〜8割の高水準となっています。次いで、正社員では、IT人材不足が深刻な「情報サービス」が73%、非正社員では、「飲食店」が80%と高くなっています。

◆人材の確保・定着への対応を迫られる
企業の人手不足の割合は確実に上がり続けています。2022年には人手不足による倒産件数が増加し、なかでも「従業員退職型」が全体の4割を超えるなど、人材確保が切実な実態が各所で確認されています。4月22日日経によれば、GWの多くの客室単価が50%以上アップしているそうです。しかし、人手が確保出来なければいくら単価アップが出来ても供給制限せざるを得ません。人材獲得と定着は緊急課題です。

事務所から一言

3月13日にあの袴田事件の再審請求決定が東京高裁で出され、袴田さんの無罪判決の可能性が広がってきました。袴田さんの死刑確定からなんと42年後のことです。これまで死刑判決を受けて覆った冤罪事件はありますが、袴田事件ほど裁判所の判断が分かれて死刑と無罪をさまよった事件は例を見ないものでしょう。

この報道に関して様々なことが頭に浮かんできました。私は損保現職時代、仕事の関係で警察関係者とご厚誼を頂き、あの厳しい警視庁入口をフリーパスできる入館証も頂いておりました。ある日刑事事件に深く携わってきた警察幹部と雑談の四方山話でポロリと本音を聞くことができました。「私は事件をやっていませんと被疑者が涙を流すんですよ。それで私はそれを信じたんですが、なんと実際には犯行を行っており、見事に騙されました」。警察関係者の方は大なり小なり同じ経験をしているのでしょう。それだけに、無実の訴えは耳に入りにくくなると思います。

一方、私がお話を伺ったボクシングジム経営者新田渉世さんのことも思い出しました。この方は袴田巌さんを支援する会の中心メンバーですが、かつて東洋バンタム級チャンピオンであり、初の国立大学卒王者(横浜国立大学)です。新田渉世さんは袴田事件のことを知り、袴田さんが「プロボクサー崩れ」(袴田さんは元プロボクサー)と蔑まれ色眼鏡で見られていると知り、義憤にかられたとお話されました。

今後の裁判の推移は別として、袴田さんは「世界で最も長く収監されている死刑囚」として、ギネス世界記録に認定されているそうです。しかもある日突然死刑執行されるかもわからない恐怖で精神に変調をきたしているそうです。今回の東京高裁判決では事件関係者が冤罪を作り上げた可能性があるまで言及しております。事件の一日でも早い決着の日を見たいと願います。

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