渡邊人事労務パートナー事務所便り8月号をお届けします

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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「労働者派遣制度」見直しに関する
最新動向


◆政権政党の変更による方針転換
 ある政治家が言いました「国会は男を女に変える以外は全てを変えられる」。この言葉通りではないですが、自民党政権に交替したことから、労働者派遣法が大きく変えられそうです。連合の支援を受けた民主党政権が労働者派遣制度を厳格化させたのに対し、現政権党である自民党は規制緩和の方向に向かっております。また、自民党は「残業ゼロ法案」として第一次安倍内閣で批判を浴び取り下げた「ホワイトカラーエグゼンプション」(労基法の規制を適用しない管理職等の制度)を今後実験的に導入すると新聞報道がありました。政権政党の交替が労働政策に大きな影響を及ぼすことを実感させられます。

◆制度見直しの流れ
厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」(以下、「研究会」)は、8月6日に開催された会合で報告書素案を公表し、今後、労働政策審議会で行われる見直しの議論のための方向性や論点を示しました。
今後は、公表された報告書素案をもとに2013年8月中に報告書を作成し、労働政策審議会で労働者派遣法の改正についての詳細を検討したうえで、2014年の通常国会に改正法案を提出することが予定されています。
派遣労働者を利用している会社にとっては、労働者派遣制度をめぐる法規制が大きく変更される可能性がありますので、今後の動向に注目する必要があるでしょう。
 
◆「26業務」の廃止可能性
派遣労働者を利用する立場としては、これまで派遣社員に行わせる業務が「26業務」であるか、それ以外になるかが気になるところでした。
現行、ソフトウェア開発や通訳、アナウンサーの業務等の26の専門的業務(以下、「26専門業務」)については、正規社員の雇用を脅かすおそれがないとして、派遣期間の上限が設けられておりません。しかしながら例えば26専門業種にある「取引文書の作成」は今日必ずしも専門的ではないと考えられております。
このことから、厚労省の研究会では専門業務の枠組みをすべて廃止することを検討している模様です。もし「26専門業務」が廃止となるならば、労働者派遣法を規定していた基本的な考え方の大きな転換となります。

◆同一業務最長3年の変更可能性
「26専門業務」以外はこれまで同一業務最長3年までとされておりました。同一業務最長3年とは、派遣先の業務単位で制限が設けられているため、一人の人が制限業務に2年半派遣勤務したときには、引き継いだ派遣社員は残りの半年だけの勤務に制限されるというものです。この上限を業務単位ではなく、人間単位で、一人が一カ所で働ける上限に変更する方向で検討されております。この結果、企業は派遣社員を交替させれば、ずっとその業務を派遣社員に任せることができることとなります。

◆派遣期間の定めの変更可能性
これまでの派遣労働者の派遣期間は「26専門業務」と「26専門業務」以外で区分し、制限がある業務については同一業務最長3年を基本として運営されてきました。
厚労省の研究会では、業務による派遣期間の線引きに代わり、派遣元と派遣労働者の関係に着目し、派遣元が常時雇用する労働者に対しては期間の制限をなくす案がでております。また、派遣元と派遣労働者が有期雇用の場合にはすべての業務で派遣期間を「最長3年」とすることが適当とする案が示されました。

◆改定方針が示唆すること
 いずれにしても労働者派遣法が大きく変貌する可能性があります。この改定方針内容は、企業にとっては派遣労働者利用の幅が手広くなることであり、他方では、派遣労働者は派遣先正社員の職域を侵さないという原則を崩しかねない可能性があり、組合の反発も想定されます。

業務中の居眠りによるパソコン操作
にご注意!


◆居眠りが裁判沙汰に
寝不足等が原因で仕事中にウトウト…。誰しもそのような経験があると思います。特に日本列島が連日の猛暑で茹で上がり、高知県では41.0度という全国史上最高記録となっている折から、夜間の睡眠不足で昼の仕事に支障をきたす方もあろうかと思います。
仕事中の居眠りは万国共通のことであり、海外では居眠りが原因で「会社にあわや大損害」という事態が起き、裁判沙汰にまでなってしまったそうです。

◆一瞬の居眠りが…
ドイツの銀行で、行員がパソコンの操作中に一瞬だけ居眠りをしてしまい、大金(日本円で約287億円)を誤って送金しそうになりました。
銀行は、事態を重くみて上司である女性(48歳)を解雇処分としましたが、労働裁判所は「重大ミスではあるものの、意図的ではなく解雇理由にはならない。譴責(けんせき)にとどめるべき」との判断を下し、女性の復職と賠償金の支払いを命じました。

◆行員の居眠りとミスの状況
この行員は、パソコンで送金額(62.4ユーロ)を入力すべきところ、キーボードに指を置いたまま一瞬居眠りをし、誤って「2億2,222万2222.22ユーロ(約287億円)」と入力してしまいました。キーボードの怖さは、僅かでもキーを長置きすると同一文字が連打されてしまうことは皆様ご承知の通りです。そしてそれに気づかずエンターキーを押せば誤ったとはいえ取引が完了してしまいます。

キーボード操作の恐ろしさでは旧みずほ証券の売り方処理で、男性担当者が61万円を1株のところ、1円で61万株と誤入力し会社が407億円の損失を被ったことは事件から8年近く経過しても記憶に新となっております。
この二つの事例は、例え事務職でも端末誤操作によって会社に大きな損害を与えるおそれがあること、そして人間は誤りを行うことを前提としたフェイルセーフ(誤りが発生すれば安全な方に自動制御される機能・装置)が必要であるということです。
 
◆効果的な「昼寝」の活用
居眠りをしてしまいそうなほど眠いときに、効果的なのは「昼寝」です
昼寝研究の第一人者と言われている、カリフォルニア大学のサラ・メドニック氏は、「1時間半の昼寝は一晩分の睡眠に等しい」と主張しています。
会社で1時間半もの昼寝をすることは現実的には不可能ですが、昼休みの時間を利用して10分〜数十分程度の昼寝をするだけでも、疲労回復により、午後の業務の効率アップにつながります。最近では、昼寝用の専用部屋を用意する理解ある企業もあるようです。

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