2023年2月号|新宿区の助成金申請代行・就業規則作成なら、社会保険労務士法人渡邊人事労務パートナーズにお任せください。

社会保険労務士法人 渡邊人事労務パートナーズ 代表社会保険労務士 渡邊武夫
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2023年02月号

年収の壁

◆年収の壁が政治課題になっています
毎年年末になると、パート社員の方の年収調整で、繁忙期に人手不足になり困るとのお話をよくお聞きします。いわゆる年収の壁問題です。
現在いよいよ事態が深刻化し、国会の政治課題となり、岸田首相が「対応策を検討する」とまでなっております。今月号では改めて年収の壁を取り上げます。

◆なぜ年収の壁が政治課題に?
 主な要因として3点があります。
(1) 経済復調の人手不足
(2) 昨年10月の最低賃金アップ
(3) 社会保険加入対象者の拡大

◆年収の壁の色々
100万円の壁
他の壁より心理的にマイナーですが、100万円を超えると住民税課税対象となります。

103万円の壁
この壁が主婦にとり関心のある壁でしょう。パート社員で働く本人に税金がかかる壁です。私の顧問先パート社員様から「年末まであと幾らまで働ける?」と聞かれるのも103万円の壁が多いです。また、主婦がこの壁を超過するとご主人の家族手当に影響する(無くなる)会社も多いので注意が必要です。一般的な会社の賃金規定で家族手当支給基準を「配偶者の収入が非課税額以下であること」と設定していることが目に見えない大きな壁であると思います。例えば毎月2万円支給されていた家族手当が突然ゼロになれば、誰だって103万円を超して働く気にはなれません。

106万円の壁
昨年10月以降社員数100人超企業では、106万円(月収8万8千円)を超える社員はパート社員でも社会保険に加入することになりました。社会保険適用者拡大の政府方針によるものです。法令改定前のパート社員は、国民年金は3号被保険者として保険料納付済とみなされ、かつ、健康保険は被扶養者として保険料不要でしたので、新規対象者には社会保険料が負荷される重たい改定となります。

130万円の壁
年収が130万円を超えると世帯主の被扶養者から外れます。勤務先が小規模企業で上記106万円の壁はクリアー出来ても、130万円超になれば否応なしに自らで社会保険に加入することになります。勤務先が個人企業であれば、国民年金1号被保険者として毎月16,590円、健康保険は居住地役所で国民健康保険被保険者となり保険料納付を行います。この130万円の壁もプレッシャーの大きな壁です。

健康保険では、収入が基準より多いのに被扶養者のままでいないか、1年に1回会社に調査報告依頼が入ります。余談ですが、私が健保組合の理事をしている頃の話で30歳台後半の男性が社員の被扶養者でおりました。役目として当該社員にお尋ねのところ、ご子息は司法試験に専念して収入ゼロであり、言葉はおかしいですがれっきとした被扶養者とのため、思わず合格のエールを送ってしまったことがあります。

150万円の壁
最後は150万円の壁です。パート社員に直接影響するものではなく、その世帯主が配偶者特別控除を得られる壁です。パート社員の年収が150万円以下ではその世帯主は配偶者特別控除満額38万円を受けられる壁です。

◆直ぐに年収の壁に突き当たります
観光・飲食業を始めとした求人需要を反映した時給アップや、更には、昨年10月の最低賃金アップにより、働く間もなく直ぐに年収の壁に突き当たります。
「人手不足で時給を上げると働き控えがさらに進む。無間地獄だ」(2月1日衆議院予算委員会自民党平議員発言)
 
今日本はコロナから漸く立ち直ろうとしており、復調に必要なものは何と言ってもマンパワーです。パート社員の方も好き好んで年収調整している訳ではありません。壁として立ちはだかる税制や社会保険制度そして賃金慣行の対応策が早く実施されることを期待します。

3月からの協会けんぽの健康保険料率改定

◆令和5年3月分からの健康保険料
令和5年3月分の都道府県単位ごとの保険料率が全国健康保険協会のホームページに公表されましたのでご案内致します。
東京 :9.81%→10.00%
神奈川:9.85%→10.08%
千葉 :9.76%→9.87%
北海道:10.39%→10.29%

40歳から64歳までの方に加算される介護保険料率は次の通りです
1.64%→1.82%

標準報酬月額ごとの保険料額表はこちらからご確認ください。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3150/r05/r5ryougakuhyou3gatukara/

4月からの雇用保険料率引き上げ

 詳細は3月号でご案内いたしますが、4月1日以降雇用保険料がまた引上げされます。長い社会保険労務士経験でこれまで一度も経験しなかった雇用保険料改定が昨年4月、10月、そして今回と立て続けに引き上げられます。雇用保険料ファンドがコロナに浸食されることを痛感します。

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