2025年08月号
最低賃金が今年も大幅上昇・要チェック
◆改めて「最低賃金」制度とは
最低賃金は、最低賃金法に基づき国が定めるもので、使用者は、労働者にその金額以上の賃金を支払わなければなりません。都道府県別に最低賃金が定められ、この地域別最低賃金以上の賃金を支払わない場合、罰則が科せられます。
新しい最低賃金は毎年10月1日労働日より切り替わりますが、これに気付かずうっかり最低賃金を割り込む事業所があります。特に、最低賃金を基準とした賃金体系を組んでいる事業所は法令違反とならないように新しい最低賃金で賃金体系を組み直すことが必要です。
◆最低賃金の上昇
以下都道府県の最低賃金となる新しい時給予測額をお示しいたします。カッコ内は対前年増額幅です。
東京都1,163円 ⇒ 1,226円(63円)
神奈川1,162円 ⇒ 1,225円(63円)
千葉 1,076円 ⇒ 1,140円(64円)
埼玉 1,078円 ⇒ 1,141円(63円)
千葉県は県独自で+1円上乗せしています
◆最低賃金のチェックが必要です
最低賃金を割る会社は50万円以下の罰金となります。貴社の最低賃金のチェックをお願いします。
最低賃金のチェック方法
(基本給+諸手当)÷所定労働時間で
最低賃金を上回っているかチェックします
例:令和7年10月1日以降の東京都
・基本給180,000円
・諸手当20,000円
(但し通勤手当、家族手当、別居手当等は除きます)
・月間所定労働時間160時間として計算
200,000円÷160時間=1250円
・・・最低賃金1,226円を上回り問題なし
仮にこの社員の諸手当20,000円がなくなると最低賃金を下回り法令違反となります
180,000円÷160時間=1,125円
・・・最低賃金1,226円を下回ります。
労基法のややこしいお話で恐縮ですが、諸手当のうち、住宅手当については注意が必要です。
最低賃金計算→住宅手当も含みます
割増賃金計算→住宅手当は除外します
◆今後の動向
中小企業にとり最低賃金の大幅引き上げは負担の大きいことになります。しかしながら、最近の物価上昇を背景にして、「2020年代に全国平均1500円」が新たな目標として打ち出されております。人材争奪の中で時給を引き上げなければ働き手が集められません。今後も最低賃金の上昇を見越した経営が必要になります。最低賃金引上げに見合った生産性向上ができない企業は市場から退場を迫られる可能性もあります。
最低賃金は、最低賃金法に基づき国が定めるもので、使用者は、労働者にその金額以上の賃金を支払わなければなりません。都道府県別に最低賃金が定められ、この地域別最低賃金以上の賃金を支払わない場合、罰則が科せられます。
新しい最低賃金は毎年10月1日労働日より切り替わりますが、これに気付かずうっかり最低賃金を割り込む事業所があります。特に、最低賃金を基準とした賃金体系を組んでいる事業所は法令違反とならないように新しい最低賃金で賃金体系を組み直すことが必要です。
◆最低賃金の上昇
以下都道府県の最低賃金となる新しい時給予測額をお示しいたします。カッコ内は対前年増額幅です。
東京都1,163円 ⇒ 1,226円(63円)
神奈川1,162円 ⇒ 1,225円(63円)
千葉 1,076円 ⇒ 1,140円(64円)
埼玉 1,078円 ⇒ 1,141円(63円)
千葉県は県独自で+1円上乗せしています
◆最低賃金のチェックが必要です
最低賃金を割る会社は50万円以下の罰金となります。貴社の最低賃金のチェックをお願いします。
最低賃金のチェック方法
(基本給+諸手当)÷所定労働時間で
最低賃金を上回っているかチェックします
例:令和7年10月1日以降の東京都
・基本給180,000円
・諸手当20,000円
(但し通勤手当、家族手当、別居手当等は除きます)
・月間所定労働時間160時間として計算
200,000円÷160時間=1250円
・・・最低賃金1,226円を上回り問題なし
仮にこの社員の諸手当20,000円がなくなると最低賃金を下回り法令違反となります
180,000円÷160時間=1,125円
・・・最低賃金1,226円を下回ります。
労基法のややこしいお話で恐縮ですが、諸手当のうち、住宅手当については注意が必要です。
最低賃金計算→住宅手当も含みます
割増賃金計算→住宅手当は除外します
◆今後の動向
中小企業にとり最低賃金の大幅引き上げは負担の大きいことになります。しかしながら、最近の物価上昇を背景にして、「2020年代に全国平均1500円」が新たな目標として打ち出されております。人材争奪の中で時給を引き上げなければ働き手が集められません。今後も最低賃金の上昇を見越した経営が必要になります。最低賃金引上げに見合った生産性向上ができない企業は市場から退場を迫られる可能性もあります。
割れた二人の医師の診断書
社員の長期欠勤が発生した場合、会社は医師の診断書を提出させて正当な欠勤理由があるか確認を行います。一般的な就業規則では長欠時の診断書提出の規定が用意されております。
身体的な外傷や疾病では医師による診断書に大きな相違は考えられませんが、ことメンタル障害では本人主治医と会社指定医で全く逆の診断書が提出されることがあります。この場合会社はどうすべきでしょうか。今回は医師の診断書が割れた場合の東京地裁裁判を取り上げました。
メンタル障害による休職期間満了に伴い自然退職とされた社員が、退職は不当と裁判で訴えました。会社側の主張は、会社指定医が「復職は困難であり継続休職が必要」と診断していることによります。これを根拠に会社は休職期間満了まで復職を認めず自然退職まで持ち込みました。一方、本人主治医は「復職は可能である」との診断書が提出されております。
裁判所が注目したのは、会社指定医が僅か15分で診断を行い、症状経緯記載もない状況では、本人主治医の診断結果を否定は出来ないというものでした。結果として会社側の敗訴となりました。
会社指定医の診断書を盾とすれば自然退職に持ち込めるという会社思惑が崩れてしまいました。
これまでの社労士業務で、主治医の診断書が当てにならないことを承知しております。このため、事業主様からも指定医の診断書を取り付けることをアドバイスしておりますが、指定医の診断書も根拠になりえない場合があることを今回の裁判が示唆しております。
身体的な外傷や疾病では医師による診断書に大きな相違は考えられませんが、ことメンタル障害では本人主治医と会社指定医で全く逆の診断書が提出されることがあります。この場合会社はどうすべきでしょうか。今回は医師の診断書が割れた場合の東京地裁裁判を取り上げました。
メンタル障害による休職期間満了に伴い自然退職とされた社員が、退職は不当と裁判で訴えました。会社側の主張は、会社指定医が「復職は困難であり継続休職が必要」と診断していることによります。これを根拠に会社は休職期間満了まで復職を認めず自然退職まで持ち込みました。一方、本人主治医は「復職は可能である」との診断書が提出されております。
裁判所が注目したのは、会社指定医が僅か15分で診断を行い、症状経緯記載もない状況では、本人主治医の診断結果を否定は出来ないというものでした。結果として会社側の敗訴となりました。
会社指定医の診断書を盾とすれば自然退職に持ち込めるという会社思惑が崩れてしまいました。
これまでの社労士業務で、主治医の診断書が当てにならないことを承知しております。このため、事業主様からも指定医の診断書を取り付けることをアドバイスしておりますが、指定医の診断書も根拠になりえない場合があることを今回の裁判が示唆しております。