◆2021年02月号 「36協定届」が新しくなります

「富士そば」雇調金で労基署入検

◆雇用調整助成金の不正利用
皆様お馴染みのそばチェーン店である「富士そば」本部が雇用調整助成金申請で労基署から調査され、不正利用が明らかになりました。

具体的には、退職時の有給休暇残40日を消化する社員に対して会社命令による休業として雇用調整助成金を申請し休業手当を受け取ったというものです。本来ならば、有給休暇40日分利用に対して会社は通常の賃金を支払わなければならないところ、これを会社命令の休業として雇用調整助成金を申請し35万円を不正に受けとっていたことが発覚しました。

◆更には役員からの不正指示(未遂)
更には、「富士そば」役員から各社員に対するメール指示があり、週に2日は雇用調整助成金を利用したいので該当日は出勤してもタイムカードを押さないこととされました。また、ワンオペが不安で複数出勤する場合には、一人は会社命令による休業で休んだことにするとされました。
この指示を受けたある社員がこれでは雇用調整助成金の不正受給になると別な役員へ相談し、未遂ですが不正受給の目論みが発覚しました。

◆雇用調整助成金の歴史
2008年9月15日アメリカの投資銀行リーマンブラザーズ破綻を契機とした世界金融恐慌により我が国でも産業界は大打撃を被りました。労働マーケットには解雇者があふれました。このような辛い状況でも労働者を解雇しないで下さい、休業手当は国が支給しますとして生まれたものが雇用調整助成金です。

当事務所ではこの時からすでに雇用調整助成金を取り扱っておりますが、当時の膨大かつ綿密な支給申請書類には正直辟易しておりました。ここまで厳格な書類を求めるというのも、何より不正受給を阻止するためでしたが、実際には不正受給は後を絶たず最後には当局は不正受給企業の社名公表に踏み切りました。今回の「富士そば」も社会的信用が毀損されます。

今回事件の典型例の様に、実際は働かせていながら、会社命令で休業させた形で雇用調整助成金を申請する会社、或いは、社員の本来自己都合休暇に対して雇用調整助成金を申請する会社、または、受給した雇用調整助成金が正しく社員へ支払われていない会社等多くの不正申請バリュエーションがありますが、何れにせよ致命的な社名公表に繋がらないように、これまで通り襟を正して申請することが最も大切なことと思われます。

「36協定届」が新しくなります

◆改めて36協定届とは
労基法では社員を1週間に40時間、一日に8時間を超えて労働させてはいけないという法律があります(第32条)。しかしながら必要に応じてこの制限を超えて労働させる場合に労基署へ届出るものが36協定届です。この届出により社員に時間外労働や休日労働をさせても罰則を受けることがなくなります。

◆改正の内容
2021年4月1日より、36協定届の様式が新しくなります。改正内容は、大きく2点あります。
①36協定届における押印・署名の廃止
②36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設

◆36協定届における押印・署名の廃止
労働基準法施行規則等の改正により、使用者の押印および署名が不要になりました。
契約当事者の記名捺印が職業柄身に染みている当職として、4月以降本当にこれで良いのか東京労働局へ確認のところ、労働契約自体が諾成契約であり、有効な契約との回答でした。

◆36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設
労働者代表(事業場における過半数労働組合または過半数代表者)及び会社の管理監督者ではないことについてチェックボックスが新設されています。

◆新旧様式の届出の適用
2021年3月31日以前であれば、4月1日以降の期間を定める協定であっても、原則、旧様式を用いることになります。しかし、新様式を使用することも可能で、その場合は、協定当事者の適格性にかかるチェックボックスにチェックする必要はありませんが、使用者の記名押印または署名が必要になります。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえ、3月31日以前であっても、使用者や労働者の押印または署名がなくても提出することができます。

また、4月1日の施行日以降であっても、当分の間旧様式を用いることもできます。その際の留意点は次のとおりです。
・旧様式の押印欄を取消線で削除す
る。
・協定届・決議届については、旧様式に、協定当事者の適格性にかかるチェックボックスの記載を直接追記する、または同チェックボックスの記載を転機した紙を添付する(チェックボックスにチェックがないと、形式上の要件に適合している協定届・決議届と認められませんので、注意が必要です)

・電子申請のための提出代行証明書を
頂いているお客様は当事務所で電子申請が可能です。

※新様式は以下のURLからダウンロードして使用できます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/index.html