◆2021年08月号 とある会社の入社面接試験です

とある会社の入社面接試験です

何時の時代でも入社面接試験はあります。採用する側は、なるべく優秀な社員を採用したい思いが強く、どうしても多面的な角度から色々な質問を行います。では、次の面接官の質問は今の時代で許容されるでしょうか。

◆採用面接官からの熱心な質問
① 配偶者の方はおりますか?
② 扶養されるご家族は何人おられますか?ご家族は皆様ご健康ですか?
③ 通勤時間は会社まで1時間以内で来られますか?
④ 尊敬している人物は誰ですか?
⑤ 現在のご自宅は持ち家ですか?
⑥ お父様の会社の役職は何ですか?

これらの質問はこれまでの入社面接では何気なく問われた事項ですが、現在の入社面接では全てNGです。

公平な人事選考の観点から、入社面接は応募者の適性や能力のみに基づいた採用であるべきであり、上記質問は本人の適正・能力に関係しないため、質問すべき事項ではないとされています。知らず知らずにルール違反を犯す怖さがあります。

昔あるテレビキー局のオーナー社長が女子アナ面接で「貴女は処女ですか?」の恒例質問が有名でしたが、今これをやったら一体どうなるでしょうか。

◆就職差別につながる14項目
厚生労働省は採用選考で就職差別につながる14項目を定めております。承知している筈と思っていても案外パスしてしまうこともありますので、御参考に記載します。前記採用面接官の質問も14項目のいずれかに該当します。

1.本人に責任のない事項の把握
①本籍、②家族、③住宅、④生活環境

2.自由であるべき思想・信条の把握
①宗教、②支持政党、③生活信条、④尊敬する人物、⑤思想、⑥労働組合運動、⑦購読新聞

3.採用選考方法
①身元調査、②適正・能力に関係の無い応募書類、③合理性の無い選考時健康診断

◆それでも情報が必要な時
例えば、配偶者や扶養家族の情報は今後の転勤の配慮事項になりますし、住宅の遠近はオンコール対応可能性になります。また、会社経営上支給手当額の計算も必要です。このような時には、会社が情報を必要としている合理性があることを本人に説明納得の上情報取得することが必要です。

履歴書が新様式になりました

◆性別記載欄が任意記入となりました
従来のJIS規格様式例から履歴書が削除されたことから、厚生労働省は令和3年4月に新たな履歴書様式例を発表しました。

この新様式例で性別欄は任意記入となりました。未記入とすることも可能であることが注意書きに記載されております。これは、体の性と心の性が別であるトランスジェンダーが、履歴書記載に苦痛を感じるということへの配慮によるものです。この他、応募者の適性や能力に無関係な事項として、配偶者の有無と扶養義務、扶養家族数と扶養義務、通勤時間の記載項目が削除されています。

◆これからはLGBTへの配慮が重要
現代の性的嗜好は様々です。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)に対しては各人ごとに様々な受け止めがあろうかと思います。私などは男女が魅かれ合うのが自然の摂理と思いますが、今の世の中では多様性を尊重しない決めつけはどうやら間違いの様です。

YOU TUBEで北欧在住日本人女性(北欧人の夫を持つ普通の主婦です)がリポートする番組を見ておりましたら、現在の日本人のLGBTに対する偏見と法的未整備を憤っておりました。LGBTは世界的に
11人に一人の割合で、これは左利きと同じ割合とのことです。デリケートで個人の機微に触れる事であればあるほど配慮が必要であり、蔑称を用いること等の行為は危険であり避けるべきでしょう。

採用選考時及び採用後のLGBTに対する差別や配慮不足は企業規模に拘わらずマスコミに社会問題として大きく取り上げられやすいので、格別のご留意が必要です。

傷病手当金の有難い改定です

健康に自信がある方でも、いつ何時病気になるか分かりません。このような時に頼りになるのが健康保険の傷病手当金です。傷病手当金は病気になった4日目から回復するまで最長1年6ヶ月の間、喪失賃金の補てんを行ってくれます。

月給30万円×2/3=月額20万円の保険給付

病気の身で月額20万円の給付はとても有難いところです。ところで、1年6ヶ月とは何時から何時まででしょうか。従来の取扱いではカレンダー通りでの計算です。例えば令和3年4月1日に給付開始であれば、一律令和4年9月30日まで終了し、仮に中間で職場復帰6か月間があっても終了日は同じでした。

来年1月1日以降の制度改定では、職場復帰期間はノーカウントとして、実際に会社を休業した1年6ヶ月を通算して給付対象とすることになります。つまり、療養中の社員にとっては、体調が良くなり職場復帰したからといって傷病手当金で不利になることがなくなりました。社員の福利厚生の観点で歓迎すべき改定と言えます。

なお、傷病手当金は健康保険被保険者に対する給付であり、国民健康保険では給付対象となりませんのでご注意が必要です。
ただし、コロナ罹患のため休業を余儀なくされた国民健康保険被保険者に対して、独自の休業損失補償を設けている自治体もありますので、国民健康保険課へ確認されることをお勧めします。