◆2020年12月号 雇用調整助成金の今後について

◆来年2月いっぱいで現行の新型コロナ特例措置は終了予定です

雇用調整助成金新型コロナ特例措置を申請された事業主の皆様もおられると思いますが、来年3月以降は段階的に縮減し、5~6月にリーマンショック時並みの特例とするとの方針が、今月8日にまとめられた総合経済対策で表明されています。
ただし、令和3年1月末および3月末時点の感染状況や雇用情勢が大きく悪化している場合、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業について特例を設ける等、柔軟に対応するとされています。

◆雇用調整助成金の特例措置比較

ご参考としてリーマンショックと新型コロナの特例措置をご紹介します(実施時期にはばらつきがあります)。以下の通りコロナ特例はリーマンショック特例を上回り手厚い措置となっています。
(1) 助成率
*リーマンショック特例:中小企業 4/5、
大企業 2/3
*新型コロナ特例:中小企業10/10、大企業3/4(ともに雇用維持を前提)

(2) 生産指標要件:
*リーマンショック特例:最近3カ月の生産量等が直前3カ月または前年同期と比べて原則5%以上減少
*コロナ特例措置:1カ月5%以上減少

(3) 対象被保険者:
*リーマンショック特例:被保険者期間6カ月未満の者も助成
*コロナ特例:緊急雇用安定助成金により被保険者でない労働者も助成

(4) 支給限度日数:
*リーマンショック特例:3年300日
*コロナ特例措置:令和2年4月1日から令和3年2月末までの期間(この期間はノーカウント)+1年100日、3年150日

現在従業員を休業させ雇用調整助成金を活用している企業においては、上記のような変更への対応を検討しておく必要があるでしょう。

◆人手不足企業向けには新たな雇入れ助成も

コロナ禍による離職者等で、就労経験のない職業に就くことを希望する求職者を一定期間試行雇用する事業主に対する賃金助成制度(トライアル雇用助成金)を創設するとともに、紹介予定派遣を通じた正社員化(キャリアアップ助成金)を促進するとされています。
人手不足に悩んでいる企業においては、こうした制度の活用による人材確保も検討してみるのもよいかもしれません。

リモートワークの実態

◆リモートワーク調査結果

世情ではリモートワークが当然の働き方のような報道がありますが、それでは実際はどうなのか東京商工リサーチが実施したアンケート調査(11月実施、有効回答1万1,076社)の結果をみてみます。

在宅勤務・リモートワークを「現在も実施している」企業は30.7%にとどまり、導入後に「取りやめた」企業は25.4%にのぼっているとのことです。また、リモートワークを実施している企業について、従業員の何割が実施しているかを尋ねたところ、割合の大きい順に、「1割」29.80%、「2割」13.92%、「3割」12.85%、「10割」11.14%、「5割」10.95%という結果でした。業務がリモートに向かないというケースもあるのでしょうが、実態としては想定したよりも低いリモートワーク実施率のようです。

◆現役世代は新型コロナ死亡率が低い

現役世代での新型コロナによる死亡率も、日本では高くないのが実態のようです。新型コロナの死亡者の平均年齢は79.3歳で、ほぼ男性の平均寿命(80.98歳)と同じであり、健康寿命(男性72.14歳、女性74.79歳)との比較でみると男女とも死亡者の平均年齢のほうが上回っているという状況だそうです。

経団連がコロナ対策のガイドラインを改訂し、出張について「見合わせ」から「注意」に変更するなど、不合理な対策は改めようという動きもある一方、まだまだ自粛一辺倒のような空気もあります。会社が立ち行かなくなっては元も子もありませんから、感染予防と業務遂行を睨みながらできることからやっていくしかないのでしょう。

◆多くの中小企業は深刻な状況

前述のアンケート調査では、「1年以内に廃業を検討する可能性がある」と回答した中小企業が42.2%に上っています。11月上旬時点の調査結果なので、第3波を迎えているとされる現時点では、更に増加している可能性もあります。日本の経済の要は中小企業です。医療崩壊を防ぐことは大命題ですが、中小企業を破綻させないよう、あらゆる施策を動員してこの緊急事態を乗り切ることを政府に期待したいと思います。

同一労働同一賃金に対応する助成金

◆来年4月より中小企業にも法令導入されます

これまでお伝えしております様に来年4月1日より中小企業でも同一労働同一賃金制度が義務化されます。 同一企業における、正社員と非正規社員(有期雇用労働者、パートタイマー、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指し、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

◆同一労働同一賃金対応の助成金もあります

同じ性格の手当について、正社員には支給し非正規社員には支給しないということが、来年4月1日以降は基本的に許されなくなります。各企業とも格差を設ける時には格差の合理性を従業員に説明する必要があります。

これに関連し、企業が正社員と非正規社員ともに制度を共通化することで支給される助成金が用意されております。厚生労働省のキャリアアップ助成金(諸手当制度共通化コース)は、特定の制度(役職手当、特殊作業手当、精皆勤手当、家族手当、住宅手当等)を共通化することを新たに定めて、就業規則に規程することで中小企業に対して38万円(生産性要件ありで48万円)が支給されます。同一労働同一賃金対策としてご利用ご検討願います。