◆2020年1月号 年末調整への怒り(誤解です!)

お客様からの怒りの電話

年末調整を終えてやれやれと思っていたところ、その会社の事業主様から怒りの電話が入りました。

「なぜ社員の今月の給料がこんなに上がってしまうのですか!」
「この上がり方は激しすぎます!」
「この上がった分の出所は会社なのですか?」

事業主様が初めて年末調整の結果を見て、このように驚かれ,ある意味でお怒りになるのは最もと思います。実は昨年も同じような電話を別な事業主様から頂いております。特に住宅ローン控除などの税額控除の場合には多い方は控除額が10万円にも上るので、驚き方も半端でなくなってきます。

◆賃金アップ額の出所は源泉所得税です。

毎月の給与明細を見ると「源泉所得税」があります。役員も社員も毎月(特例納付では年2回)自分の給与から所得に応じて税金を納めております。これが源泉所得税であり、この金額は月額表スケールで一律決定して国に納付することになっております。

しかしながら、社員の中には、扶養家族が増えたり、生命保険料等を払ったり、或いは住宅ローンを借り入れしたりして、既に納付した源泉所得税の方が確定納付税額よりも多い場合があります。この差額が源泉所得税還付となり、月例給与に上乗せ支給となります。事業主様から見ると、賃金が大幅アップに見えるのでこれは一体何なのだ、会社が損をしてしまうとなります。しかしながら、還付額の出所は社員の皆様が事前に納付した源泉所得税勘定で調整され支給されますのでご安心ください。

◆源泉所得税制度がなかったら

文献をひもときましたら、我が国の源泉所得制度は昭和15年にナチスドイツの税徴収を参考に導入され、税金を効率的に徴収できることから今日まで制度が存続しております。そして昭和22年から年末調整が事業主の業務となりました。

もし源泉所得税制度がなければ、皆様の毎月の給与手取りは税金分が軽減となり嬉しいことです。しかしながら、所得税を年末に自分で一度に支払うとなると、恐らく支払い不能者がぞろぞろ出るのではないかと思います。その意味では源泉徴収制度はやむを得ざる制度と思われます。その一方で、知らず知らず税金を取られているということは、納税者意識が薄らいでしまうことになります。自分が支払った税金が正当な使い方をされているか追求する意識が損なわれます。年末調整で還付されること自体は嬉しいことですが、元々は自分自身が事前に多く払わされていたという視点も必要でしょう。

不覚にも起きてしまう未払い残業代

◆セブンイレブンの未払い残業代問題

昨年12月、セブン‐イレブン・ジャパンは、パート・アルバイトの残業代が一部未払いとなっていた件で、永松社長が記者会見で謝罪しました。同社の支払不足額は2012年3月以降分だけで4.9億円(遅延損害金1.1億円含む)に上り、1人当たり最大280万円となっていました。

◆原因は残業代対象手当の除外ミス

原因は精勤手当や職責手当等、残業代の対象となる手当を含めずに計算していたことにあります。コンビニの雄セブンイレブンがこの様な多額の未払い残業代を発生させたことで社会的に厳しい批判に晒されております。

◆押さえておきたい対象除外手当

給与明細をみると、色々な手当が記載されております。時間外割増を計算するときには、基本的にはこれらの手当も計算対象に含めることになっております。基本給だけで時間外割増賃金を計算すると未払い残業代発生となります。ただし、以下の手当に限っては時間外賃金の計算から外してもよいとなっておりますので、自社の給与計算について今一度ご確認をお願いします。

・家族手当 ・通勤手当 ・別居手当 ・子女教育手当 ・臨時に支払われた賃金 ・1カ月を超える期間毎に支払われる賃金

◆賃金債権の時効延長方針

昨年12月27日、厚生労働省は、賃金等支払いを請求する権利の時効を現行の2年から原則5年へと延長する方針を固め、4月1日以降、労働基準法が改正される見通しとなりました。
改正法施行後も、当面の間は3年とされる見通しですが、5年経過後に見直し方針であり、これまで以上に未払い賃金防止は重要になります。

事務所より一言

皆様には良いお正月をお迎えされたことと存じます。私は大晦日から元旦にかけて子供達と福島県相馬の温泉旅行を楽しみにしておりました。ところが、愛犬桃太郎の容態が急変して危篤になり、旅行を当日キャンセルせざるを得ませんでした。大晦日の日、もはや歩けなくなった26キロの桃太郎を抱えて獣医に駆けつけたところ、リンパ腫瘍ということでステロイド注射をして、一時小康状態になりましたが、18日に天国へ旅立ちました。12歳と8カ月の命でした。本当に賢くて我慢強く愛しい存在でしたので心に穴が空くとはこのような思いなのかと実感いたしました。

私が損害保険会社の管理職であった頃、部下の女子社員から、飼い犬が死んだので午前中休ませて欲しいとの連絡がありました。犬を飼っていなかった当時の私は、犬が死んだくらいで休むなんてと鬼管理職の発想がありました。午後しょぼしょぼしながら出社したその女子社員に何気なく「さぞ可愛かったんだろうね」と言った途端にその場で大泣きされてしまいました。燃えやすい悲しみの導火線に着火させてしまいました。今は見事にしっぺ返しを受けております。

私が永年勤めた会社を早期退職したのも桃太郎と関係しております。出社前の毎朝せわしい桃太郎との散歩の途中、今でも覚えておりますが、大作公園という高台で桃太郎と朝日を眺めておりましたところ、「そうだ、会社をやめれば、大好きな桃太郎と毎朝ゆっくり散歩ができる。会社を辞めよう!」突然その気持ちが湧き、会社を辞めてしまいました。人間という生き物は必ずしも理詰めで行動を起こすものではないようです。

元気でやんちゃな桃太郎でした。